2027年、台湾の最低賃金は30,000元を超える? 企業の人事・経営者が今から考えておきたいポイント

NEWSSeptember 16, 2026 11:44

台湾の最低賃金引き上げと企業の給与予算見直しをイメージした、通貨・給与計算関連書類の写真。2027年の最低賃金決定に向けた企業の事前準備を表しています。

2027年、台湾の最低賃金は30,000元を超える?企業の人事・経営者が今から考えておきたいポイント

 

 台湾では最低賃金の引き上げが10年連続で続いています。2026年1月1日からは、月額最低賃金がNT$29,500、時間額最低賃金がNT$196となり、この10年間の累計上昇率は47.4%に達しました。頼清徳総統は2026年のメーデー関連行事でも、次回の改定で最低賃金がNT$30,000を超えることへの期待を示しており、実現すれば台湾で過去最高水準となります。

 

 企業経営者や人事担当者(HR)、そして求職者にとって、注目すべきなのは「30,000元を超えるかどうか」だけではありません。2027年の最低賃金審議は現在どの段階にあるのか、何が確定していて、どこに不確定要素が残っているのか。最終的な金額にかかわらず、人件費の上昇を見据えて企業がどのような準備を進めるかが重要です。

 

データで見る:2027年最低賃金改定の進捗と政策動向

指標/確認項目

主なデータ・現状

現在の最低賃金水準

202611日より適用。月額は NT$29,500、時間額は NT$196となり、10年連続の引き上げとなりました。

総統の発言と政策目標

頼清徳総統は、最低賃金が NT$30,000を超えることへの期待を公に示しています。ただし、これは政策上の目標・意向であり、最終的な法定決定ではありません。

法定の審議・決定プロセス

最終的な改定幅は、労働者側、使用者側、有識者、政府の各代表で構成される「最低賃金審議委員会」において、毎年第3四半期(Q3)に審議・決定されます。

行政上の承認手続き

審議委員会で合意または決議された後、行政院の承認を経て正式に公布・施行されます。

主な評価指標

委員会では、消費者物価指数(CPI)の上昇率や経済成長率(GDP)などの客観的なデータをもとに総合的な判断が行われます。政治的な目標だけで改定幅が決まるわけではありません。

 

30,000元を超えることの象徴的な意味と実際の決定プロセス

 台湾の労使対話や政策議論において、「30,000元」は心理的にも象徴性が高い水準です。経済的には29,900元と30,000元の差は大きくありませんが、実際にこの節目を超えれば、労使交渉や市場全体の賃金期待、政策目標の実現という点で一定のインパクトを持つと考えられます。
一方、企業経営の観点では、「ちょうど30,000元を超えるか」以上に重要なのは、台湾の賃金水準が10年連続で上昇してきたという継続的な傾向です。最終決定を待ってから対応するのではなく、「人件費は今後も一定程度上昇する可能性がある」という前提を、日常的な経営計画の中に組み込んでおくことが有効です。

 

過去10年の動きから考える、2027年最低賃金の方向性

 2016年以降の改定を振り返ると、世界的な感染症の流行や経済の不確実性、関税をめぐる懸念などがあった時期でも、最低賃金は毎年引き上げられてきました。2026年についても、輸出関税の影響を懸念する声がある中で、最終的には3.2%引き上げられ、NT$29,500となりました。この過去の動きから、企業にとっては次の2点が参考になります。

  1. 2027年も引き上げとなる可能性は高い:
    過去10年の傾向を踏まえると、引き上げが継続する可能性は高いと考えられます。

     
  2. 最終的な改定幅は、複数の要素を踏まえて調整される:
    過去の審議結果は、労働者側の期待と使用者側の事情の双方を踏まえた水準となることが多く、客観的な経済指標も考慮しながら決定される仕組みです。

 

最終額がどうなる場合でも、企業の人事・管理者が今から検討したい3つの準備

複数シナリオで人件費を試算する(3~5%の改定幅を想定):
近年の改定幅を参考に、たとえば3~5%程度の複数パターンで、会社全体の人件費への影響を事前に試算しておくと、正式発表後の予算調整をよりスムーズに進めやすくなります。

「賃金の圧縮(給与レンジの接近)」もあわせて確認する:
最低賃金が上がる一方で中堅層やベテラン社員の給与が据え置かれると、初級職と上位職の給与差が縮小する場合があります。いわゆる賃金圧縮が生じる可能性も踏まえ、必要に応じて給与体系全体への影響を確認しておくことが、社内の納得感や人材定着の観点でも重要です。

最低賃金の引き上げを「例外対応」ではなく、毎年の予算計画に織り込む:
10年連続で引き上げが続いていることを踏まえると、賃金上昇は企業経営において継続的に検討すべき要素の一つといえます。長期的な財務計画や人事計画にあらかじめ織り込むことで、市場環境の変化にも対応しやすくなります。

 

まとめ

 2027年の台湾の最低賃金が正式にNT$30,000を超えるかどうかは、現時点では第3四半期の審議委員会による最終決定を待つ必要があります。一方で、台湾の賃金水準が長期的に上昇していることは、企業が今後の人件費や採用条件を考えるうえで重要な傾向です。企業にとっては、こうした変化を早めに人事・給与戦略へ取り込み、第4四半期の予算策定や今後の採用・定着施策に反映していくことが、より計画的な対応につながります。

  

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よくある質問(FAQ)

Q1:台湾で現在適用されている最低賃金はいくらですか?

A: 2026年1月1日より、台湾の月額最低賃金はNT$29,500、時間額最低賃金はNT$196です。
 

Q2:2027年の最低賃金がNT$30,000を超えることはすでに決まっていますか?

A: いいえ、現時点では確定していません。頼清徳総統はその方向性への期待を公に示していますが、最終的な改定幅は毎年第3四半期に開かれる「最低賃金審議委員会」で客観的な経済データを踏まえて審議され、その後、行政院の承認を経て正式に決定されます。
 

Q3:最低賃金審議委員会はどのようなメンバーで構成されていますか?

A: 労働者側代表、使用者側代表、有識者、政府部門の代表で構成され、毎年第3四半期に審議が行われます。
 

Q4:最低賃金の引き上げが企業に与える、見えにくい影響には何がありますか?

A: 最低賃金が適用される従業員の人件費が直接増えるだけでなく、周辺の給与レンジにも影響が及ぶ可能性があります。必要に応じて最低賃金をやや上回る層の給与も見直し、職位間の給与差や社内の納得感、人材定着とのバランスを確認することが重要です。
 

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作者

Valerie Ong

リーラコーエングループ リージョナルマーケティングマネージャー

Valerieは、リーラコーエンのアジア地域におけるコンテンツ制作と市場インサイトの発信をリードしています。各国の専門コンサルタントチームと連携し、採用データ、給与基準、労働市場のトレンドを、台湾の雇用主とビジネスパーソンに役立つ実務的な情報へと整理しています。

その調査結果は、リーラコーエンの独自調査である「Salary Guide」「Hiring Pulse」
「Hiring Manager Survey」などをもとにしています。

 

参考資料

  • 「頼総統が言及:最低賃金3万元台への引き上げに期待」、Pinoy Formosa、2026年5月
  • 「最低賃金、10年連続引き上げ」、中華民国行政院 重要政策情報
  • 「労働部の最低賃金審議委員会、9月26日に開催予定」、中央通訊社(CNA)、2025年9月
  • 『Taiwan's 2026 minimum wage set at NT$29,500 per month』、Jibble、2025年10月

 

 

Disclaimer

This article is intended for general informational purposes only and reflects market observations at the time of publication. Labour market conditions, hiring trends, and salary benchmarks may vary by industry, company size, and economic environment. Statistics and data referenced from third-party sources are attributed to their respective publishers. Readers are encouraged to verify specific details and seek professional advice before making employment or business decisions. No part of this article may be reproduced without prior written permission from Reeracoen Singapore Pte. Ltd.