応募はあるのに、採用したい人が見つからない?2026年、台湾の日系企業で見えてきた「人材ミスマッチ」

NEWSSeptember 23, 2026 15:04

採用候補者の履歴書を虫眼鏡で確認するイメージ。人材選考と採用ミスマッチを表現。

応募はあるのに、採用したい人が見つからない?2026年、台湾の日系企業で見えてきた「人材ミスマッチ」

 

重要なポジションがなかなか埋まらないとき、人事・採用責任者の方は、まずどのような対応を検討するでしょうか。
「掲載する求人媒体を増やす」「採用広告の予算を増やす」「応募条件を少し広げる」――まずは応募母数を増やす施策を検討するケースも多いのではないでしょうか。もちろん、応募母数そのものが不足している場合には有効な方法です。ただ、現在の台湾の採用市場では、それだけでは解決しにくいケースも増えています。
Reeracoen Taiwan(台湾立樂高園)が台湾の日系企業を対象に行った最新調査から見えてきたのは、採用難の背景にあるのが単純な「応募者不足」ではなく、企業のニーズと候補者の経験・志向がかみ合わない「人材ミスマッチ」であるケースが多いということです。

 

48.1%の企業が「応募はあるが、合う人が少ない」と回答

Reeracoen Taiwanが発表した『2026 台湾採用動向展望レポート』では、台湾の日系企業の管理職・人事担当者183名を対象に調査を実施しています。その結果、採用現場の課題がはっきりと表れました。
採用上の最大の課題について、48.1%の企業が「応募はあるものの、適任者が少ない」と回答しました。一方、「応募者数そのものが不足している」と答えた企業は20.2%です。つまり、今回の調査では、「人材ミスマッチ」に悩む企業の割合が、「応募数不足」の2倍以上となっています。
この結果からは、採用を「まずは応募数を増やす」という発想だけで考えるのではなく、候補者とのマッチ度も同時に見直す必要があることがうかがえます。

 

2026年 台湾の日系企業が感じている主な採用課題

採用課題

企業割合(%)

現状の見方

人材ミスマッチ(応募はあるが適任者が少ない)

48.1%

最も多い課題。応募自体はあるものの、企業の要件に合う人材が十分に見つからない。

応募者数の不足

20.2%

応募の「量」そのものが不足していると回答した企業は約2割。

面接段階で適切に見極めにくい

14.2%

有効な評価方法や、採用基準の設計に課題を感じている。

オファー辞退・早期離職

9.3%

報酬条件の競争力や、入社後の適応・定着などが影響する場合がある。

なぜ「求人の露出を増やす」だけでは解決しにくいのか?

採用課題が「応募数の不足」なのか、それとも「マッチ度の不足」なのかを見極めることは、採用戦略を考え直すうえで重要です。なぜなら、必要な打ち手がそれぞれ異なるからです。

「応募数」が課題の場合:
求人の露出を増やす、広告を強化する、条件の幅を見直すなど、より多くの候補者に求人を知ってもらう施策が有効です。

「ミスマッチ」が課題の場合: 
応募数だけを増やしても、適任者の割合が上がるとは限りません。かえって採用担当者が多くの履歴書を確認し、面接に時間をかけることになり、採用工数が増える可能性があります。

採用が難しくなると、つい採用ファネルの入口を広げたくなります。ただ、課題が「接触できる人数」ではなく「求める人材に届いているか」にある場合、入口を広げるだけでは根本的な改善につながりにくい点に注意が必要です。

 

人材ミスマッチが起こる背景には何がある?

同調査では、採用が難しくなる背景についても企業に尋ねています。結果を見ると、単一の理由ではなく、複数の要因が重なっていることがわかります。
市場全体での技術系人材不足(57.4%):
最も多く挙げられた要因です。特にエンジニアや専門技術職では、新竹サイエンスパークなどに拠点を置く大手企業を含め、複数社が同じ限られた専門人材を採用対象としている状況があります。


報酬条件の競争力(39.6%):
給与や福利厚生は採用競争力に影響します。一方で、Reeracoen Taiwanの分析では、市場全体の構造的な人材不足も大きく、単純に「給与を上げれば解決する」とは言い切れない点が示されています。


業界そのものの魅力度(28.4%)
競合他社との給与・条件の差(24.9%)
企業の雇用主ブランドの認知度(23.1%)


なお、社内の採用・育成プロセスに関する項目では、「新入社員の受け入れ・育成体制(11.8%)」や「面接・評価プロセス(9.5%)」を挙げる企業の割合は相対的に低い結果でした。
 

 

「欠員補充」が続くと、現場の負担も積み上がる

もう一つ注目したいのが、2025年の採用ニーズです。調査対象企業では、54.1%が「退職者の欠員補充(Backfill)」を目的とした採用で、事業拡大に伴う増員ではありませんでした。
採用リソースの半分以上が欠員補充に使われている状態では、人材ミスマッチは採用担当者だけの問題ではなく、現場の生産性や組織運営にも影響しやすくなります。


👉 採用時のミスマッチ ➔ 入社後の適応に時間がかかる・早期離職 ➔ 再募集 ➔ 履歴書選考や面接の負担増 ➔ 現場の負担がさらに増える


こうした循環が続くと、採用コストだけでなく、受け入れ側のチームにも負荷がかかります。だからこそ、「採用精度を高めること」と「離職を減らすこと」を切り離さずに考えることが重要です。給与の競争力、キャリアパスのわかりやすさ、雇用主ブランドなど、退職につながる要因を見直すことも、採用プロセスの改善と同じくらい大切な取り組みといえます。

 

人材ミスマッチを減らすために、企業が見直したい4つのポイント

応募数を増やすことだけに頼らず、採用の精度を高めるためには、次のような見直しが考えられます。


求人要件(JD)を整理し、優先順位をつける:
「必須条件(Must-have)」と「歓迎条件(Nice-to-have)」を分け、すべてを満たす理想像を一人に求めすぎないことが大切です。条件を整理することで、本来ターゲットとなる候補者が応募しやすくなります。


ダイレクトソーシングや専門性の高い採用パートナーを活用する:
求人掲載だけでなく、特定分野の人材市場を理解した採用チームや人材紹介会社と連携し、候補者へ能動的にアプローチする方法も選択肢になります。


給与・雇用主ブランド・業界での立ち位置をまとめて伝える:
給与だけで差別化するのが難しい場合でも、企業の強み、チームの雰囲気、仕事内容、キャリアの広がりを具体的に伝えることで、候補者にとっての魅力が見えやすくなります。


離職率も「採用効率」の一部として見る:
欠員補充が多い市場では、一人が退職するたびに再び採用コストと現場工数が発生します。採用数だけでなく、入社後の定着まで含めて採用の成果を考えることが重要です。

 

よくある質問 Q&A

Q1:2026年、台湾の日系企業が感じている最大の採用課題は何ですか?

A:Reeracoen Taiwanの2026 台湾採用動向展望レポートでは、48.1%の企業が「応募はあるものの、適任者が少ない」と回答しています。「応募者数の不足(20.2%)」の2倍以上で、人材ミスマッチが大きな課題として表れています。

Q2:求人をより多くの媒体に掲載し、応募数を増やせば人材ミスマッチは解決しますか?

A: 必ずしも解決するとは限りません。露出を増やすと応募総数は増えますが、適任者の割合まで上がるとは限らないためです。むしろ、履歴書選考や面接にかかる時間が増え、人事・採用チームの負担が大きくなる場合もあります。
 

Q3:台湾の日系企業で採用が難しくなる主な理由は何ですか?

A:調査では、市場全体での技術系人材不足(57.4%)、報酬条件の競争力(39.6%)、業界の魅力度(28.4%)、競合との給与・条件差(24.9%)、雇用主ブランドの認知度(23.1%)などが挙げられています。

 

Q4:現在の採用ニーズは、事業拡大による増員と退職者の欠員補充のどちらが多いですか?

A:調査対象企業の2025年の採用では、54.1%が退職者の欠員補充(Backfill)を目的としていました。

 

Q5:「応募は多いのに、合う人が少ない」と感じる場合、企業は何から見直せばよいですか?

A:まずは求人要件を整理し、必須条件と歓迎条件を分けることが第一歩です。そのうえで、特定分野に強い採用チャネルや人材紹介会社の活用、雇用主ブランドや給与・福利厚生の見直し、入社後の定着施策まで含めて考えると、欠員補充が続く状態を減らしやすくなります。

 

まとめ:採用課題は「応募数」だけで判断しないことが大切

今回の調査では、「応募はあるものの適任者が少ない」という回答が最も多く、採用課題の中心が単純な“量”だけではないことが見えてきました。応募母数を増やす施策が必要なケースもありますが、JDの優先順位、候補者への訴求、採用チャネル、入社後の定着までを一つの流れとして見直すことが、採用の精度を高める第一歩です。
 

🤝 採用戦略やキャリアの選択肢を、もう一度見直してみませんか?

企業・人事担当者の方へ

「応募は来るのに、なかなか採用につながらない」と感じている場合は、応募数を増やす前に、採用要件やアプローチ方法を見直してみるのも一つの方法です。
Reeracoen Taiwanでは、半導体・製造・材料・エンジニアリング領域を中心に、台湾の採用市場を踏まえた人材紹介を行っています。
採用要件の整理や市場感について相談したい場合は、ぜひコンサルタントへお気軽にご相談ください。

 

求職・転職をお考えの方へ

ご自身の経験や専門性を活かせる仕事を探している方は、Reeracoen Taiwanへの履歴書登録をご利用ください。キャリアアドバイザーが、これまでの経験や希望を伺いながら、台湾の日系企業・外資系企業を中心に求人をご案内します。

 

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作者

Valerie Ong

リーラコーエングループ リージョナルマーケティングマネージャー

Valerieは、リーラコーエンのアジア地域におけるコンテンツ制作と市場インサイトの発信をリードしています。各国の専門コンサルタントチームと連携し、採用データ、給与基準、労働市場のトレンドを、台湾の雇用主とビジネスパーソンに役立つ実務的な情報へと整理しています。

その調査結果は、リーラコーエンの独自調査である「Salary Guide」「Hiring Pulse」
「Hiring Manager Survey」などをもとにしています。

 

參考資料

 

 

 

Disclaimer

This article is intended for general informational purposes only and reflects market observations at the time of publication. Labour market conditions, hiring trends, and salary benchmarks may vary by industry, company size, and economic environment. Statistics and data referenced from third-party sources are attributed to their respective publishers. Readers are encouraged to verify specific details and seek professional advice before making employment or business decisions. No part of this article may be reproduced without prior written permission from Reeracoen Singapore Pte. Ltd.